原作

ドラマ『汝の名』原作小説のあらすじと感想【ネタバレあり】

2022年4月5日スタートのドラマ『汝の名』。アイキャッチ画像をメインビジュアルに近づけてみましたw↑↓

同名の原作小説が面白かったので、あらすじと感想を書きました!

狂った女の恐怖のバトル。続きが気になってハラハラしながらどんどん読み進めてしまいましたよ~

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小説『汝の名』あらすじ

三上里矢子

三上里矢子(みかみ・りやこ)は、売れない劇団員と同棲しているOL。

役者としての収入はほぼないくせにロクな仕事もせず、一日働いて帰宅した里矢子にあれこれ指図してくる男に嫌気が差し、あてもなく部屋を飛び出したのは初夏の夜のことでした。

里矢子は通りかかった高級マンションの前で一人の女性に目を奪われます。

モデルかタレントのような美貌を持ち、電話でビジネスの話をしているかっこいいキャリアウーマン…

このまま家に帰り、今までと同じ生活を続けていたら自分はいつまでも負け組だ…と思った里矢子の目には強い光が宿っていたのでした。

麻生陶子

人材派遣会社を経営している美人社長・麻生陶子(あそう・とうこ)

必要な時、必要な場所に、必要な人材を派遣する会社ですが、普通の人材派遣会社とはちょっと違います。

例えば今回の依頼。“ある社員をリストラしたい”と企業から相談を受けた陶子がやることは、演劇経験者のスタッフを使って架空の会社を作り上げ、そこへターゲットをヘッドハンティングすることです。

自分の能力を買われたと思ったターゲットは、依頼主である会社を自ら退職。しかし転職先の架空の会社では倉庫へ飛ばされ、社長役の男から日々厳しい扱いを受けることになるのです。結局そこも辞めることになりますが、騙されたと気づいても転職を決めたのは自分だし、架空の会社も登記上は存在しているのでどうしようもありません。

これは大がかりな方ですが、結婚式の人数合わせや販売会場での盛り上げ役、家族や恋人の代役の派遣なども行っています。

陶子自身おかしな商売だと思うことはあるけれど、需要があるのです。人を騙すことに罪悪感を感じているスタッフには夢を売る仕事だと説明していました。

この仕事を陶子に与えたのは河島という年上の実業家でした。実業家といってもなんか胡散臭い男です。

陶子の周りにいる男はもう一人。年下のデザイナー・恭平です。恭平は陶子のおかげでデザイナーとして食べて行けるようになったと恩義を感じているようです。

陶子はこの二人にそれなりの魅力は感じていたものの、つかず離れず、河村からは金と仕事と便宜を、恭平からは才能を搾取するくらいの気持ちで付き合っていました。

久恵

そんな陶子には一緒に暮らしている妹・久恵(ひさえ)がいます。

男たちがしつこく誘ってくる時は「精神的に少し病気の妹が待っているから…」と言えば断れるし、陶子が仕事の愚痴や、逆に上手くいった時の高揚感などをありのままにぶつけることができるのは久恵だけでした。

陶子にとって久恵は必要な存在なのです。

久恵にとってもまた、陶子は必要な存在でした。

陶子と違って顔もスタイルも平凡。陶子の機嫌が悪い時には理不尽に責められたり暴力を振るわれることもありますが、久恵は陶子に憧れ、ずっと陶子と一緒にいたいと思っています。

以前は大手製薬会社の研究室で働いていた久恵ですが、職場での三角関係が原因で離職。それ以来、人の目が怖くて働くことができずに陶子の世話になっています。薬剤師ではありませんが、今でもネットで薬のことを調べるのが趣味

陶子と暮らす前に住んでいたアパートは解約せずそのままにしており、あんまり陶子に辛く当たられた時などはそこへ逃げ込んでいました。陶子にも知られていない避難場所。貯金を切り崩して契約を続けていましたが、そろそろ自分でお金を作らないと貯金が底をつきそうです。

 




久恵の金策

その日も陶子に暴力を振るわれた久恵。秘密の避難場所であるアパートへ向かいます。

その途中、以前具合が悪くなっているところを助けたことのある継子(つぐこ)という一人暮らしの老女に話しかけられました。

継子に誘われて夕飯をご馳走になることになった久恵。それ以降、度々継子の家を訪れるようになります。そのうち継子の服用している薬を見て知識を披露したことで、継子は久恵を薬剤師と勘違い。より頼りにするようになります。

地味で小柄な久恵は一人暮らしの老人たちに警戒心を持たれることなく、親しくなることができました。次第に継子以外の老人の友達も増え、お金の出し入れなども頼まれるようになります。

彼らの通帳から、額面を変えることなく利息分を抜くことなどは簡単でした。

アパートの家賃を払うため、どんどんエスカレートする久恵。

久恵の正体

久恵には姉がいました。といっても陶子ではありません。

実家で両親と一緒に暮らしている実の姉がいるのです。職を失った久恵が実家に帰りにくかったのも、姉一家がいるからというのもありました。

実は久恵と陶子は血の繋がりなどない、高校時代の同級生。久恵が当時から陶子に強く憧れていたのは本当ですが、昔から地味で冴えない自分と、華やかで人気者の陶子。久恵の陶子に対する感情には、憧れという一言だけでは済ませられない鬱屈したものがありました。

さらに久恵はただの大人しい地味な女ではありません。老人たちのお金を平気でネコババするし、部屋に入ってきた蛾を躊躇なく潰すような一面も持っています。(蚊じゃなくて蛾です。それも指で😱)

陶子の正体

ある日、陶子と久恵は「麻生科子(あそう・しなこ)」という女性が急性薬物中毒で死亡したという新聞記事を目にします。

麻生科子は陶子の妹です。

といっても陶子の本当の妹ではありません。というより、陶子が本当は麻生陶子という人間ではないのです。

今の仕事を始める時、問題が起きた時のことを考えて別名義でやるよう河島に勧められ、陶子は陶子になったのです。

陶子の正体、それは三上里矢子でした。冒頭に出てきた、ロクでもない男と同棲していたあの三上里矢子です。

借金で首が回らなくなっていた麻生陶子を助けてやる代わりに5年という約束で戸籍を借り、里矢子がそれを使用していたのです。

戸籍をとられた麻生陶子は、当時から行方不明になっていた妹・科子の名前で生きていたようです。

本物の陶子と偽物の陶子は接触してはいけなかったのに、最近本物の陶子が金の無心で陶子の前に姿を現したことがありました。厄介だな…と思っていたので、本物の陶子が科子として死んだことは、陶子にとっては朗報だったのです。(ややこしい)

会社を始めてから3年。陶子は人材派遣の仕事に飽きていました。

そんな時、カフェで偶然出会った大企業の御曹司・亮介

これまでに関わったことのない育ちの良い男性に、陶子は瞬く間に夢中になっていきます。

久恵の計画

陶子の機嫌の良い日が続き、穏やかな日々に幸せを感じている久恵。

しかし、突如現れた亮介という存在にどこか脅威を感じていました。亮介と電話している時の楽しそうな陶子の様子は、他の男と話している時と明らかに違うのです。そしてそれは久恵に見せる顔とも違うことに気づいてしまいました。自分はこんなに尽くしているのに、陶子は久恵を愛してはいない…。

ちなみに亮介の存在は陶子の携帯電話を盗み見て知りました。

陶子に愛する男ができるということは、久恵と陶子との日々も終わるかもしれないということです。そんなの久恵には耐えられませんでした。

陶子に捨てられる…それは久恵が元職場で受けた屈辱を思い出させるものでした。新しく入ってきた女に簡単に心変わりした元恋人。あっさり捨てられた、惨めな自分。

陶子の方は、亮介との仲が深まるたびにこれからの人生への期待に胸が膨らみ、そろそろ三上里矢子に戻りたいと思うようになっていました。

そのためには久恵のことを何とかしなくては…。

そう思っていた矢先、帰宅した陶子がいつものように久恵の作った料理を食べると、なんだか体が重くなり、いつものように食後のコーヒーを飲む気にもなれません。歩くとふわふわして、パジャマに着替えるのにも手元がおぼつかなくなります。以前インフルエンザで高熱が出た時の感じに似ていました。

翌日はなんとか仕事に出られるくらいに回復したものの、それ以来、どうも脳に濁りが生じたかのように体調不良の日々が続きます。

ある日、自分の部屋で目を覚ました陶子は体を起こそうとしても少しも力が入らず、手足を動かすこともできなくなっていました。

何が起こったのか理解できないでいると、部屋に久恵が入ってきました。久恵は陶子が病気になってしまったのだと言っています。言葉もうまく発することができない陶子は何一つ久恵に伝えることができません。おまけに排泄まで久恵の世話になっているようでした。

混乱しながらも、久恵が小さく「ククク」と笑ったのを、陶子は見逃しませんでした。自分の身に起きていることを、働かない頭で一生懸命考えます。

久恵が陶子の食事に混ぜていたのは副交感神経遮断薬でした。意識神経や運動神経の活動を阻害する一方で、自白や意識誘導にも用いられる薬。

久恵の生活

陶子の思考と体の自由を奪った久恵は陶子の服を着、エステやスポーツジムに通い、まるで以前の陶子のように暮らしていました。

陶子の周りにいた男たちから連絡も来ていましたが、とにかくしらばっくれます。

老人たちの預金からちまちまと利息をかすめ取ることも続けていました。するとある時、何かおかしいと思った継子が自分で銀行に行きたいと言い出します。継子が心臓発作で亡くなったのはその直後のことでした。

これは確実に久恵が殺したと思いますよね。正解です。実は麻生科子(=陶子)のことを殺したのも久恵でした。陶子に金の無心をしたことを知り、陶子のために殺したのです。薬物中毒である科子の薬にちょっと細工をするのは簡単でした。

しかし、やることが全て場当たり的で穴だらけの久恵。

陶子に対してもそうです。寝たきりにはさせず、歩いてテーブルにつかせ、食事をさせることもありましたが、最終的に陶子をどうするのかまでは考えていませんでした。だけどこのままだと男たちが強引に陶子を捜しに来るかもしれない…。近々引越す必要があることだけは漠然と考えていました。

 




陶子の計画

いつも食事をした後に具合が悪くなる…と、ぼーっとした頭でもそのことが何かの鍵になるように思えた陶子。

その後から食べる量をさりげなく減らし、お風呂や洗顔の時に水をたくさん飲むようにしていました。

ある時、寝室のクローゼットの中に今は使っていない携帯電話があったことに気づきます。充電器に繋いだままだったので電源は入っていました。見ると恭平から陶子を心配するメールが。

最初はどうやってメールを打つのかも思い出せなかった陶子でしたが、久恵の目を盗んで恭平にメールを返すことに成功します。

警察に連絡することは思いつきませんでした。やっぱり人を騙すような商売をしていた後ろ暗さからでしょうか。

とにかく久恵がいない時、恭平に自宅に来てもらい、食事に混ぜられていた薬の中身をウォッカにすり替えます。恭平はその場で陶子を救出したがりましたが、陶子はそれを望みませんでした。

陶子の中で湧き上がる闘志。これでもう薬が体内に入ることはありません。自由に動けるようになったその時、通帳やカードをはじめ自分のものを全部持ち出して、一気に姿を消してやるのだ…!

決行の日

その頃の久恵は不動産屋でアルバイトを始めていました。お金を稼ぐことが目的ではなく、カモである一人暮らしの老人を探すために細い路地に入ってうろついても怪しまれない、都合の良い仕事だったからです。

でも、老人たちの預金から少しずつお金を抜くだけでは、まとまった金額は手に入りません。

久恵は老人たちに今からでも入れる保険を勧め、契約直後に勝手に解約するという方法を試そうとしていました。身寄りのない継子をもっとうまく殺していれば自分にもお金が入ったかもしれないのに、疑われてすぐに自宅で死なせてしまったことを反省して、次に活かそうとしているようです。

また、陶子の洋服をお直しして勝手に着ていたものの、陶子のような気力も体力もない久恵は次第にその服が窮屈になってきました。

自分で買った安い部屋着の方がしっくりくる…

形だけ陶子になりきっても、所詮自分は神に選ばれなかった人間なのだ…と、どうしても卑屈な気持ちを抑えることができません。

その日も不動産屋の仕事を終え、そろそろ本当に陶子を連れて引越さないと…と考えながら帰宅しました。

すると、家の中のものが綺麗さっぱりなくなっているのです。

もちろん陶子の姿もありません。

久恵の部屋はめちゃくちゃに破壊されていました。夜な夜な薬のことを調べていたパソコンも、本も小物も何もかも。

引き出しにしまってあった陶子の通帳や印鑑ももちろんなくなっているのを見て崩れ落ちる久恵。

ふらふらしながら向かった洗面所で目にしたものは、鏡に口紅で大きく書かれた

「お馬鹿さん」

という文字でした。

その後…

久恵から逃れた陶子は、三上里矢子に戻って着々と再起の準備をしていました。

恭平に助けてもらいつつ、亮介にも連絡を取り、未来に期待を膨らませています。すごい女です。

久恵もまた、陶子と暮らしていたマンションと秘密の避難場所だったアパートを引き払い、新しい生活をスタートさせていました。

とはいっても食い扶持を稼ぐために不動産屋のアルバイトと老人たち巡りは辞められないので、住む場所は大きく変えられません。

自分がしていることの後ろ暗さから本名で過ごすことに不安を感じ、麻生陶子の名前を借りることにしました。

それから数年。

久恵は幸せな日々を送っていました。

職場も変わり、宏幸という恋人もできました。今は半同棲の状態で、近々結婚の話も出ています。

こんな自分が幸せになって良いのだろうか…と不安になることもありましたが、幸い陶子とは、ある日突然現れた陶子に「お互い様」と言われて話がついていたのでした。それ以来会うこともありません。

愛する宏幸にリクエストされた料理を作って帰りを待っている久恵。

しかし「今日は早く帰る」と言っていたのに、日付が変わっても宏幸は帰ってきません。連絡もないし、電話をかけても繋がりません。

おかしいな…と思いつつ、いつの間にか眠りに落ちていた久恵を起こした、けたたましい電話の音。「宏幸さん?」

しかし聞こえてきたのは陶子の高らかな笑い声でした。そして冷たく響く低い声。

「お馬鹿さん」

切れた電話の前で、今までの幸せな日々は全て陶子が作り上げたフェイクだったと気づいた久恵はしばらく身動きもできずにうずくまっていましたが、ゆるゆると立ち上がったその目には光が宿っていました。

待っててね、陶子ちゃん。今度は私の番だからね…。

 




感想(ネタバレ)

陶子と久恵が本当の姉妹じゃないのは最初からなんとなくわかりましたが、正反対に見えた二人が実はそっくりだったというか、同じ穴の狢だったというか。永遠に騙し合いの人生を送っているところを見たいと思いましたw

怖いけど。

久恵が陶子への感情をこじらせていくシーン、陶子にされた酷い仕打ちを動けなくなった陶子にそのまま返しているシーン、陶子が水面下で計画を立てている回想シーン、ハラハラドキドキしながら一気に読みました。

驚いたのはマンションから逃げ出した後の陶子です。

散々恭平の世話になっておきながら、何の悪気もなく本命の亮介にも連絡し、二人で話した「現実での遊び」に胸を躍らせています。

しかもその計画を恭平にもペラペラ話し、「一緒に行こう」と誘ったりして、どんだけお花畑なんだろう?

人材派遣業に関しては一応ちゃんと河島にはケジメをつけようとしていたようですが、結局どうなったのかわかりません。この仕事に飽きたのは河島から与えられたものだったからだと自分では思っているようですが、結局亮介との新しい遊びも亮介が提案してきたものですし。自分で切り開く人生みたいに言ってたけど。

久恵は人生が上手くいかないのを神様のせいにしたり、周りの人間と比べて卑屈になってばかりでしたが、最後には自分の足で踏ん張って立ってましたね。

陶子と久恵の立場がまた逆転しそうな終わり方でした。

ドラマではこの二人の関係がどんな風に描かれるのか、楽しみです!

ドラマ『汝の名』の感想はこちら

 

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まとめ

ドラマ『汝の名』の原作である、明野照葉さんの同名小説のあらすじと感想を書きました。

ドラマは2022年4月5日放送スタート!

★You Tubeで第4話まで無料配信されています★
★全話見るならParavi★

怖いけど楽しみですね~

 

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